オープニングストーリー

サバマイスピリット

読み物として構成してあります。時間のあるときにお読みください)


 「すべてインターネットはサーバに行き着く。」

 インターネットは、回線そのものというよりも主にサーバの機能に便益がある。


 重要性の気づき

 長らくのホスティング事業を通して思うのが、ITの中心であるインターネットにおいて、サーバというのはおそろしく重要なものではないかということである。

 さしものサーバ管理者というのは、会社や社会の根幹を成す全てのデータを預かる=人の命を預かる旅客機のパイロットに匹敵するようで、言ってみれば、サーバを操縦するインターネットのパイロットであるかもしれない。またクオリティやセキュリティを追求する姿勢や機能・データを見極める目はインターネットのソムリエでもあろう。納得のいかないシステムは使わせない姿勢は、高いレベルを追求し尽くして納得のいかないものは出さない頑固な料理人のようでもある。

 グランドオープンと時を同じくしてYahooBBユーザー450万人の顧客データが流出する事件が起きた。
 情報は社会や会社の根幹をも揺るがしかねないパワーを持つがゆえ、すべてを掌握して管理するサーバ管理者は極めて高い倫理観、道徳観、姿勢が問われる。

 コンピュータもネットワークも完璧でないものを相手にしながら、依頼主からは完璧を要求される厳しさもある。

 ひとたびサーバに障害が起これば、その復旧はときに過酷な業務となり、忍耐強さや強い精神力も必要である。
社会・会社においてその根幹を左右する情報のすべてを握る極めて重要な役割であることから、あまりに多くのことを要求されることがわかった。

 アメリカ大統領が米国内外どこにいてもそばで黒い鞄を持って付き添い、その中に入った核のリモートボタンを管理する側近がいる。
 サーバ管理者は社会・会社に大きな影響を及ぼすことから、社会や会社の主にとってのサーバ管理者は、大統領にとっての黒い鞄持ちのみならずその他すべての側近を合わせたぐらいの
重要性を持つと言っても過言ではないとさえ思われた。

 サーバマイスターのDNA

 サーバマイスターの企画をスタートする少し前の2001年頃、何げなく手にした一冊に、新渡戸稲造著『武士道』があった。
 サーバマイスターのグランドオープンとなった2004年初めには"The Last Samurai"と"Twilight Samurai"のアカデミー賞ノミネートなどサムライブームも重なった。Twilight Samuraiは他の海外の映画賞だけでなくなぜか米国のカンフーサイトで長らく取り上げられていたことからノミネートにはさほど驚きはなかったが、Last Samuraiは映画の冒頭に渡辺謙扮するKatsumotoの名前がMoritsuguという名前には映画館の椅子から5cmほどずり落ちる程個人的に驚いた。これは偶然にすぎないが、 偶然か必然か、非常に多くのことが符合した『武士道』についていくつか紹介したいと思う。

 サーバマイスターの仕事は精神性を高める必要性があるとしたが、『武士道』ではそれを、
活力をもたらすのは精神である。精神がなければ最新の装備も何らの利点とならない
としている。つまり、力(パワー)を悪用せず良いことに活用するのには精神を問われることである。今も昔もパワーを手にしているのは政治や軍事関係者ながら、サムライの時代では、
武人の究極の理想は平和である
新渡戸稲造は説く。現代においてはITのパワーを握るサーバ管理者に同様の理念を見ることができる。
 新渡戸稲造はさらにこう説いてくれる。

フランスの経済学者、E・シェイソンは百年間に三世代の交代があるとして、「我々一人一人はその血管の中に、少なくとも期限一千年に生きていた二千万人の血液を持っている」と計算した。
武士道は、ひとつの無意識な、あらがうことのできない力として、日本国民およびその一人一人を動かしてきた。
近代日本のもっとも輝かしい先駆者の一人である吉田松陰が刑死前夜にしたためた次の歌は日本国民の偽らざる告白である。

 かくすればかくなるものと知りながら

 やむにやまれぬ大和魂

 宮沢賢治は学校で、蛇を見たことが無い者が初めて蛇を見ても怖がることを、人間が人間から生まれるからだと子どもに説明した。ユンクの言う、深層心理に横たわる民族の記憶といった心理学の理論が共通することも同時に思い出される。
 ヘンリー・ノーマン氏(訳者奈良本辰也補注 Norman, Sir Henry 1858-1939 イギリスのジャーナリスト・旅行家、著書"The Real Japan" "People and Politics of the Far East")は、極東事情を研究観察して、日本が他の東洋の専制国家と異なる唯一の点は「人類がかつて考え出したことの中で、もっとも厳しく、高尚で、かつ厳密な御代の掟が、国民の間に支配的な影響力を持つ」ことであると断言した。そのとき、ノーマン氏は今日の新しい日本を作り、かつ将来のあるべき方向へと進めている中心軸に触れたのである。
 日本の変貌は今や全世界に明らかに事実である。このような重大な事業には様々な動機が自然と入りこんだ。しかし、その主要な力は何か、と問われれば、ためらうことなく、それは武士道であるということができる。
 日本が外国貿易に全国を開放したとき、生活のあらゆる部分に最新の改良を輸入したとき、西洋の政治と学問を学びはじめたとき、私たち日本人を動かした推進力はけっして物資資源の開発や、富の増加ではなかった。ましてや西洋の習慣の模倣などではなかったのである。
 盗用の諸制度や人民を詳しく観察したタウンゼント(訳者奈良本辰也補注 Meredith Townsend 1831-1907 イギリスの評論家、著書"Asia and Europe" "Friend of India" "Spectator")は書いている。
「私たちは日々、ヨーロッパがいかに日本に影響を及ぼしたか、を教えられている。しかし日本の島々の中での変化はまったく自発的なものであったことを忘れている。ヨーロッパ人が日本に教えたのではなく、日本みずからがヨーロッパの文事・武備の制度や方法を学んだのだ。そしてそれが今までの所立派に成功してきたことが実証されている。
 トルコ人が何年も前にヨーロッパの砲術を輸入したように、日本はヨーロッパの機械工学を輸入した。これは正確にいえば影響というべき者ではない。例を挙げるとすれば、イギリスが中国から茶を買い入れることで、中国からなんらかの影響を受けたとは言えないのと同じである」と。
 タウンゼント氏は続けて、「日本を改造したヨーロッパの伝道師、哲学者、政治家、あるいは扇動家が一体どこにいるというのだ」という。
 タウンゼント氏は、日本に変化をもたらした活動のバネはまったく日本人自身の内にあったことをよく見抜いていた。そして彼がなお日本人の心情をより深く探索していたら、洞察力の鋭いこの人は、このバネが武士道以外の何物でもないことを容易に確認しただろう。
 劣等国と見なされることに耐えられない、という名誉心。これが動機の中で最大のものであった。

 これが書かれた1989年以降の日本を知っている我々にとっては、歴史認識の良しにつけ悪しにつけ、目から鱗が落ちるようである。
「もっとも進んだ思想を持つ日本人の表皮をはいでみよ。そこに人はサムライを見るだろう。」
 名誉、勇気、そしてすべての武徳の優れた遺産はクラム教授によってまことに適切に言い表されている。すなわち、それは「我々が預かっている財産にすぎず、祖先および我々の子孫のものである。それは誰も奪い取ることができない人類永遠の家禄」である。したがって現在の我々の使命はこの遺産を守り、古来の精神を損なわないことである。その未来における使命はその人生のすべての行動と諸関係に応用していくことである。

(参考文献:新渡戸稲造著『武士道』岩波文庫刊・三笠書房刊)

 日本を予言した内容でもあり、また日本人のDNAの継承として今にも通じる内容である。
重要性の再認識とDNAから、サーバ管理の仕事を通常の一般的な業務から昇華させることができたようにも思う。
もちろん職業に貴賤はないが、日本人の特質を活かす分野であることを見つけることができた。おそらく高尚・崇高な域に達する数少ない仕事の一つといえよう。

 中国の薬品会社がアジア進出にあたり、中国製の薬が信頼性に乏しいとされ、日本企業の信用力を得るため日本企業を買収して日本ブランドで売る戦略をとる話がテレビで特集されていた。
特に薬品という極めて信頼性が要求される点でサーバ管理の仕事と共通する。 ざっと見るにはドイツも良いかもしれないが、日本人の持つ勤勉さと信頼性でブランドとして確立できる分野であることは間違いない。

 サーバ管理の仕事は、日本人の勤勉さやこれまで国際的にも培ってきた信頼性が生きる分野で、まさに面目躍如であろう。

 サーバマイスターの主担当である弊社中澤秀則であるが、立ち上げ時に機密のコードのようにサバマイと言うことを好んだ。多くの内容が武士道と符合していく様をサバマイの成り立ちと展開としてまとめてみた。

 あとの内容は端的にまとめて、次に列挙してみる。

 


■サーバマイスターは、サーバマイスターによって伝授・育成・輩出され、世界を舞台に活躍するべきである。
 ワールドクラスをはじめから意識して、世界の経済の中心でもあるニューヨークにミニマムながら拠点を設けて志高くスタートを切ることにした。
 サーバマイスターの準備段階から日本発で成功している柔道に範をとり、各グレードの色も帯の色そのままである。

■冒頭のように、サーバ管理はあまりに重要な仕事であることに気が付いたが、ユーザー側のレベルにあまりの格差があることや、あまりにも人が足らないことにも気が付いた。 育成の難しさも実感した。
 PCスクール担当者の話では、パソコンの基礎を教える講師が扱いが上になるということでウェブ制作などインターネット系の講師の扱いも下がってしまっていることやは教わる側もインターネット系の講座を軽視している傾向があるという。
 他のスクールにも共通する話として一般化して言えないだろうけれども、実際の世の中のニーズとのねじれ現象のような特殊な状況でもある。
 これは単にインターネット系でしっかりとした資格がないことが一番の原因であった。
 講師もニーズの高いインターネットの力があってもそれを端的に示す的確な資格が無く、学生も目標にできる良い資格がなかったのである。
 解決方法としては、既に力がある人はそれを認定して日陰の身から日のあたる存在にしてあげることと、目標を提示して、勉強に邁進してもらうことがまずは必要と思われた。

■認定に際して一般的に行われるテストは、そもそも先生が時間をかけて直接マンツーマンでなるべく客観的に評価をすることが一番であろうことが、一人の先生が多くの人の評価を行うには時間的な問題で限界があることから、その代替としてテストという間接的な方法をとることになったといえる。
 サーバマイスターの
テストは次のように、内容と基準の二本の柱による。
「内容=コンテンツ」は、日本におけるのホスティング草創期からの老舗としての長い歴史による「蓄積」と、日々のサポートから常にフィードバックされる「先端」としての内容は国内随一でもあり、他のどのホスティング業者に対してひけを取ることはないことは多方面から認めていただいた。
「基準=スタンダード」は、所属団体でもある日本テスト学会で先生方の実質的な力をお借りしながら、サーバに関する基準を客観的に判定する方法を常に洗練し続ける。宮澤修二先生からは弊社がホスティング老舗であり、この資格に一番適していることと歴史が裏付ける厚いコンテンツをもって堂々と資格を認定すればよいとの太鼓判もいただくこともできた。
 認定に際しては、足し算ばかりで重箱の隅をつつくような内容に陥ることなく、実務として本当に求められている内容に絞る、引き算も行う。 Conceptのプレゼンテーションムービーにもあるように、スマートグレードは、

従来の『取りにくい・実務に使えない資格』から
本当に『取りやすい・実務に即使える資格』への
実務主義をしっかり支える革新的・特徴的なグレード

となる。

■育成については、特にサーバの仕事は古くからある技を直接伝える相伝が一番良いと思われる。育成は上位グレードの者が相伝を行い、 柔道、剣道、華道など、今後上位グレードのサーバマイスターが道場的にスクールを開いて教えるのも奨励したい。
 相伝の一部を補う意味から試験において「実習を必須」とした。また上位グレードの者が実習に関しては認定を行う方法を予定している。
 ちなみに不正受験対策については企画当初から公文書偽造など法的なものも含めて毅然とした対応をとることを、既にあるIT系資格の講座を行っている専門学校やPCスクールなど、折に触れてプレゼンを行ってきた。 他のIT系資格でも同様な内容を表明するところも出てきた。 プレゼンを行った先の中で急に連絡が途絶えて後日企画盗用について関係者から情報を得るところもあった。
こういった類の学校のことのことではないが、不正受験対策については将来的に、合格者による相伝が問題を減らすことになることに期待する面もある。これらについては協議の上、改めてウェブサイトで伝えることにする。

■目標を持って学習するとしても、どんなものでも何かを会得するには、時間をかけるか、お金をかけて教わって時間を節約するかるかの二つしかなく、王道はない。 お金またはコネがあって教えてもらえる「相伝」が早くて確実であるが、一人山にこもって修行に入るような自立した方法も奨励したい。
お金をかけずに自分で勉強も出来るようにとMyStudyPageのシステム開発を行った。

■インターネットは日進月歩どころか秒進時歩と言われ、ゴールにたどり着いたと思ったら、ゴールの向こうにゴールがいくつも出てくるものでもある。
育てられることも重要であるが、資格取得後の自己研鑽も怠ってはならない。 ここで志望者に引いてしまってもらってはどうかと思うが、責任の重さがゆえ、サーバ管理は非常にやりがいのある仕事で、社会や会社のニーズは絶大なものがある。また、人間のやることだから至らないこともいくらでもあり、当然に完璧を求める依頼主を怒らせることもある。それでもミスを減らすことができるように常に自己研鑽する。
 
サムライの石高(こくだか)のように、責任に見合う正当な報酬を得るべきであろうし、報酬を得て、敬意を失わない、憧れともなる洗練された優雅なスタイルや立ち居振る舞いを心がけるべきでもある。「衣食足りて礼節を知る」である。

■サーバマイスターは一人ではない。常に助け合う。
 インターネットは小さなネットワークが世界中につながった構造である。
 世界中全てのネットワークを特定の組織が管理し尽くすことは不可能なように、その分散した構造が成功の要因となっている。おそらく「人間の目が届く」小さな単位で最適化して、地球全体にその小さな最適化された単位が広く分散して常に効率よく問題を解決できる「分散構造」が本質的な要員であろう。これならば「合成の誤謬」はなくせる。
 この成功している分散構造を人のネットワークに応用して、一人だけで問題を解決するのではなくサーバマイスターは互いに助け合うべきである。
 誰でも皆一人では、知っていることと知らないことを比べれば知らないことの方が多く、できることとできないことを比べればできないことの方が多い。
 力を持てば持つほどそれにおごらず、いつまでたっても人間は知らないことできないことは常に多いことを忘れず、常に謙虚になり、常に向上する姿勢が大切である。

■不正に立ち向かう。
 依頼主である社会・会社の目的を共有するが、その先起こる問題が見えていない依頼主に対しては盲導犬のごとく「賢い不服従」も必要であろう(人間を犬と比較する点についてはご容赦していただきたい)。
 違うと思えば、誹りを受けようとも譲らず、他人の言に左右されない自分のルールも持つべきである。おもねらず、容易に人に動かされず、かといって自分が間違っていれば改むるにはばかることもせず。
 また、サーバを悪用する者には、対峙し徹底的に退治すべし。
 いくら技術力があろうとも心ない者は称号を与えるべきではないであろう。 信義上の問題を起こした者は永久追放される可能性もあろう。
 それは資格を持つ者達で判断すべきでもあり、サーバマイスターは皆で育てる資格・称号であり、究極的には資格・称号を存続させ、取得者も継続することによって「信頼の証」となる。 妥協はない。

■自己自身の利を求めず。
 サーバマイスターは衣食足りて礼節を知るレベルに達するまでは自己自身の利だけで動くことは避けるべきである。インターネットの成功要因である分散構造から離れることになり自ずと瓦解するであろう。武士は食わねど高楊枝としては続かずサムライの時代は終焉するしかなかった。たそがれ清兵衛も壬生義士伝の中井貴一も幕末共通して食えていない境遇が描かれた。さしずめ、ラストサムライは海外の技術に負けた感はあるが、国側も導入せざるを得なくなった意味でも同様に海外の技術に負けたと言える。封建制を望む意図は全くないが良き精神を持った人々が生きていけないのはもったいない。これも義士ならぬ「技師」としてのサーバマイスターの研鑽が改めて必要と思われる。それはさておき、
ボランティアの無責任という言葉もあり、その継続に限界がある。特に困っている人を助けたりするのは、余力ですべきである。何かを犠牲にしたり我慢をしては続かず、結果としては困っている人を助けられなくなることになるのであれば中途半端である。
 しっかり自分自身に力を持って、余裕を作り、その余裕を還元していくべきである。
 サーバマイスターは義理人情に厚く、世話好きであってほしい。

 思うところを長々と書いてしまったが、サーバマイスターのミッションとしては、社会・会社の高いニーズを背景として、力を持ち、高いロイヤリティでサーバを守り抜き、さらに力を持った良き人のネットワークを作って社会的に貢献をする、ということになる。

 社会や会社の全ての情報を握ろうとも、けっしておごらず。
 背負った重要性にプライドを持って淡々と仕事を行う。
 技術力が高まろうとも、自慢もせず、思い上がることもない。
 技術のみならず、強い精神力、倫理観も高いレベルで要求される。
 精神性まで問われる、日本発の「根性」の入った資格。

 サーバマイスターは「格のある資格」として、また称号と呼ばれるレベルに高め、敬意を持って称えられるべき、インターネット道の「匠」への「称号」である。

 もう日陰の存在ではない。 プライドを持って活躍すればよい。

 これらは、サーバマイスターの合格者に向けては端的に十ヶ条としてまとめた。

 偶然か必然か日本人がこのサーバに重要性をいち早く見い出し、形にした。

 匠の国、日本から。


 日本発・
日本初の本格サーバ管理者資格としてメディアも含めて皆で育ててもらうことを願う。

 日本人が魂込めて立ち上げるべき大きな分野がここにある。

 "Last Samurai"ではなく"Next Samurai"でいきたいところである。

 

平成16年3月吉日

近藤 教次
Noritsugu KONDO
CEO/President
Japan United Systems Corporation